最難関大学に合格するためには、どうすればよいのでしょうか? その答えを得るためには、文字通り最難関大学である東大がどのような方針で選抜試験を実施しているのかを知るとよいでしょう。
東大は、全国の大学が教養部を廃止していっているにもかかわらず、いまだに専門教育に進む前の教養教育を必須としています。特定の職業の実利的な知識や特定の分野の専門知識を極める前に、それらの基盤として広範な基礎教養を身に付けることを要求しているのです。このことから、東大が期待する学生は、受験勉強はできるが、視野の狭い人間ではなく、様々なことに知的好奇心をもち、頭の中に知のネットワークを構築する意志のある人間であるということがわかります。
このような学生を選抜するために、入学試験には基本方針が定められています。「知識を詰め込むことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視します」(「東京大学アドミッション・ポリシー」)。言い換えれば、東大が入試を通じて見ているのは、知識の量ではなく、手持ちの知識は少なくとも、それらをたくみに組み合わせて正解を得ることのできる能力を持っているかどうかです。つまり、受験勉強が終われば忘れてしまうような個々の知識ではなく、受験勉強が終わっても残るような知識の応用力を身に付けているかどうかなのです。大学で広範な基礎教養=知のネットワークを身に付ける前提として、知識の応用力を身に付けていることを要求しているのです。
知識の応用力とは何でしょうか。応用力という能力が生まれつき存在するわけではありません。何も勉強してこなかった生徒がいきなり知識を応用できるわけがありません。応用力とは、未知の問題を頭の中にすでにある知的体系に関連付けて解決する力以外のものではありません。ですから、知識を応用することができるようになるためには、未知の問題と関連付けがしやすいように、すでにある知識を頭の中で整理・体系化しておく必要があります。しかし、他人から教わった知識は、どれほど整理・体系化されていても、すぐには活用できません。知識を応用することができるようになるためには、手持ちの知識を運用して、未知の問題を解決する訓練を積み重ね、どのような問題にも応用できる知識の体系を自ら鍛え上げていく必要があります。
したがって、知識の応用力を身に付けるためには、ただ授業を聞くのではなく、参考者や入試問題を使って演習を繰り返すことが不可欠なのです。
英語
どの大学でも読解力重視となっていますので、まずは、多くの英文を読ませ、英文を読む際の頭の働かせ方を身に付けさせながら、目と耳と口と手をフルに使って、英文の中で基本的な語彙力をつけさせます。また、基本表現を組み合わせ、英語として通じる文章を書く訓練も数多く行わせます。その上で、入試問題の長文化の傾向を踏まえて、できるだけ多くの入試問題に取り組ませ、問題処理能力を高めさせます。授業は一方的な講義ではなく、生徒の解答に対して必要に応じて解説を行う対話型講義です。
数学
公式や解法を覚えても、必ずしも問題を解けるようにはなりません。授業では、演習を通じて、基本知識の使い方を習得させます。また、合格のためには難問を解けるようになる必要はありません。どの大学でも標準問題(大学によりレベル差はありますが)を確実に解くことができるようになれば、合格ラインに到達できます。よって、標準問題が確実に解けることを優先させます。その上で、自分が解ける問題を的確に探し出し、確実に点数を積み上げていく訓練も、入試問題を用いて行わせます。授業は例題解説と類題演習からなります。